今年は横浜で開催
IDFB総会は北米・欧州・アジア3地域を中心に、毎年開催されています。
日本での開催は、前回の札幌から実に9年ぶりとなりました。
今回の総会は、横浜ベイホテル東急にて3日間開催されました。


総会には世界各国のIDFBメンバーを始めとして、日本羽毛製品協同組合および世界中の羽毛製品製造業者や卸売業者など280人以上の業界関係者が参加しました。
世界の羽毛サプライヤーと商談
ミーティングの間に、世界各国の取引先とも羽毛の状況について商談しました。

議題

3日間の主な議題は以下となります。
6月9日 | 広報活動の報告等 |
6月10日 | 羽毛の検査や基準の見直し等 |
6月11日 | 各国の市場動向 |
それぞれの会議に参加し、個人的に参考になった点をご報告いたします。
安すぎる羽毛布団にご注意!!
近年、世界中で羽毛価格が急上昇した結果、ダウンやフェザーが千切れたりしたものを「ダウンファイバー」や「フェザーファイバー」とあたかも羽毛の商品として製造、販売する業者が急激に増加しているようです。
(日本でも、通販等で既に格安で販売されています)
ダウンファイバー
このようなファイバーは羽毛を洗浄や選別する際に必ず発生しますが、通常は取り除いています。
(もちろん、取り切れずに残るものもあります)
ただ、この取り除かれたものが二束三文の価格で取引され、中国製のものを中心に世界中で商品として出回っています。
過去には「グルーダウン」というダウンファイバーを接着剤で固めたものが出回りました。
グルーダウン
残念ながら今でも一部グルーダウンを使用する業者はいるようですが、ファイバー自体を商品として販売する業者が出てきたことになります。
これは羽毛布団を製造する当社としても誠に遺憾であり、見過ごせません。
羽毛の品質を自分達で確認して羽毛製品を作る重要性が、ますます求められていると感じました。
世界各国の状況

世界における羽毛の状況についてご報告いたします。
中国市場
- 2024年の生産量は、ダック・グースともに同程度
- ダウンジャケットなど衣類関係の羽毛製品の消費が2023年と比べて18%増
- 羽毛原料の国内供給では追い付かず、ポーランドやハンガリーなど海外からの輸入が急増
米国市場
- 国内の羽毛市場は年々増加傾向(特に生活雑貨関係)
- 2020年以降消費支出は堅調だったが、2025年に入って減速気味(支出が収入を上回った結果)
- 関税問題によって輸入や消費量に影響の可能性もあり
ヨーロッパ市場
- 今年は特にポーランドやハンガリーなどの東ヨーロッパで鳥インフルエンザが蔓延
- ポーランドでは鳥インフル等によりマザーグースが11%減
- 中国からの需要が強く、輸出が好調で原料は高止まり
- フランスではワクチン接種によって蔓延を防ぐ成功例あり
まとめと今後の予想
- 2024年は中国国内のダウンジャケット等の消費が強く、世界中の羽毛価格が上昇
- その結果、本来除去されるべき羽毛くずやファイバーが混入した粗悪品が世界中で流通
- ヨーロッパでは鳥インフルエンザの影響もあり、生産量の増加は見込めず
- 日本国内では価格高騰を受けて各事業者が仕入れを控えた結果、羽毛原料の在庫が少ない状況
- 今後、価格動向によって事業者が仕入を再開・強化の可能性
つまり、
中国国内の衣類消費が強ければ、今後羽毛価格が再上昇する可能性が高いと思われます。
なお、昨年は中国国内の羽毛価格が高すぎたため、超有名な某大手の高級ダウンジャケットメーカーはポーランドから大量に羽毛を仕入れたようです。
(羽毛の品質に加えて、値段の差が少なく供給面も安定していたことにより)
羽毛の状況が世界的に不安定な今、価格だけで羽毛布団を選ぶことは非常にリスクが高いと感じています。
中見の見えない羽毛布団だからこそ、「自分の目で確認し、自分の手で仕上げる」ことの重要性が、これまで以上に求められています。
これからも、お客様にとって本当に安心で価値のある羽毛布団を、心を込めて製造し、お届けしてまいります。